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    【The age of the month. −3.5】
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      カツリカツリと苛立たしげな靴音が住宅街の舗装された道路を滑る様に進む。


      黒いエナメルのピンヒールを履いた主は、目的地を良く知っているらしく
      その場所を目指して、何一つ迷うことなくまっすぐに歩んでゆく。

      ピンヒールの主は深夜の街を見守る街灯の明かりを、
      その靴とはまた違う艶やかな反射を返す藍のメッシュが特徴的な銀髪を靡かせている。
      ピンヒールと同様の色の、だが靴より遥かに華やかなスーツを纏っている。
      深夜の住宅街では分からないが、それは人目を惹きすぎる程に似合っている・・・否、
      似合いすぎていると言っても過言ではないスーツはまるで彼女の為に作られたかのようであった。

      だが、本人はそれを露程も気にかけずズカズカと進んでゆく。
      苛立たしげな音を三つ、四つと重ねながら。




      「ったく、世話の掛かる娘。アレもコレも、ホントウに気に入らない・・・!」


      ぽつりと女性、ジズドリー・メイデンが呟いた言葉は、
      彼女が切り裂いて歩く住宅街の夜に沈んで落ちた。










      また靴音が五つ、六つ。


       

      【月齢 −3.5】

      <焔の魔女から揺れる従属種の娘への洗礼>



      ジズドリーはどんどん歩みを進めてゆく。
      付き合いの長い、大切な幼馴染の下へと迅速に、足早に。

      自分が卒業した銀誓館学園が、先日大きな戦いをしてきた事は良く知っている。

      それで回を重ねるごとに減ってはいる死亡者が出た事も良く知っている。

      そしてその中に、幼馴染の娘が不器用にも愛しんでいた男の名前があるのも、見た。


      その名前を見た瞬間にジズドリーは動いていたのだ。
      今と同じように、迅速に、苛立たしげにピンヒールを鳴らしながら。

      彼女なりになるべく急いで仕事を切り上げ帰ってきたものの2日も掛かってしまった。
      2日も掛かってしまえばもう彼女の自宅に着いているであろうと踏み今向かっているのだ。


      彼女は納得がいかなかった。

      彼らの間に何があったのかは知らないし、自分は彼らの間にとっては部外者だ。

      だが、彼女が苛立つのにはキチンと理由があった。
      それは『自分なりに可愛がってきた幼馴染の少女が明らかに傷つけられたであろう事実』
      そのことに、全くもって納得いかなかったのだ。

      大体、合意の上で相手が死ぬなどというくだらない事など、世の中にあるわけないのだ。
      古の文豪が行った、無理心中でもあるまいに。と、心の中で毒づいた。
      今のご時世、そんなものなど稀過ぎて彼女からすれば笑ってしまうようなことだった。

      彼も幼馴染も自分も、銀誓館学園の能力者。

      可笑しな事を言うようだが、自身のことでもあるからこそ分かる・・・・
      能力者は人外と常に戦っている。故に、下手な事じゃ死にやしない。
      死すは依頼先が厳しかった場合か、苛烈な戦場か、の二択なのだ。

      それ以外で死ぬことなど許されるはずも無い。
      寧ろ、死ねないと言ったほうが正しいのかも、しれない。

      常識外は常識外の場所で終わる。これは彼女がいつも心の何処かで考えている事。
      楽に死ねないなら、楽に死なない。 
      生きて生きて生き抜いて、持てる力で面倒なものを、自分にとって邪魔なものを叩き壊すのだ。
      その爽快感を知るのは私達だけで良い。

      世の中には知らない方が、無知な方が幸せって事もあるのよね、と塀の上を歩く猫に目配せした。






      あれこれ考え自問自答して哂っていた間についた目的のマンション。

      オートロックになっているが合鍵は持っているので易々と入り、
      部屋の主の幼馴染宛の目に付いた郵便物を全てポストから引き抜いてエレベーターに乗り込む。


      「(ずいぶん、手紙が多いわねぇ・・・)」

      「まぁ、いっか。  大丈夫カシラ、あの子。」

      トランクをゴトンと足元に置いて郵便物の枚数を数えて揃えながら、心配の言葉を口にした。






      目指すは5階、507号室。    宇奈月 朔夜 宅。


       

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