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    【The age of the month. −4】
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      カツン。


      部屋の前で深呼吸一つ。心を構えて、一つ。

      負けてはならぬと身嗜みを整え、キリリと拳を握り締める。


      いざ、あの落ちかけの娘と焔の魔女の戦いが始まる。






      (ドアに鍵を差し込んで捻って押してソレを開ける)
      (前とは違う意味で心臓が跳ねるが構っていられない)

      (落ちたなら、救い上げればいい。)
      (息詰まった私に、あの子がしたように。)




      (その手を、掴むのだ。)
      (だが、私だけだと思わせてはいけない。)

      (きみを思う人はこの指の数以上に居るのだと、教え込んでやらねば)




       

      【月齢 −4】



      扉を開き、靴を脱ぎ捨てズカズカ遠慮なく入り込む。
      もちろん、戸締りは忘れず厳重に。

      何かに入ってきてもらっては困るのだ。
      邪魔なモノは、燃やす心算でいるのだから。


      「サクヤ! 夜遅くに来て悪いケド、入るわよ!」




      リビングを目指してどんどん廊下を進みノブに手を掛ける。
      梅雨時期独特のじっとりとした空気達が、電気の点いていない
      この部屋中を這い回ってる気がするような重い空気。

      嫌な気分だ。

      そう思いながらもドアを開け放った。


      いつの間に降ってきたのか、ざあざあと窓の外では雨が降っている。
      雨を見ていると思い出すとある少女の顔を首を横に振ってかき消し、
      空いたままだった部屋の窓を閉めて、この家の主を探す。

      クルリとリビングを見回せば夜の朧気な光をキラキラと反射させて
      静かな存在感を放っている藍の着物を抱きしめた少女が、ソファに座っていた。
      彼女の目線は美しい着物を握る自分の手でありながらも、
      ぼんやりと其処じゃない何処かを見ている目が異様であった。

      いつものあの娘じゃないが、どこか見覚えのあるその目がジズドリーは気に入らなかった。

      あの目をさせたあの男が憎い。ギシリと強く噛締めすぎた歯が悲鳴を上げたがどうでもいい。
      足早に近付き、下を向く彼女・・・宇奈月 朔夜の顎に手を沿え持ち上げた。
      そして、虚ろな目を見て眉間に皺を寄せ、一発。引っ叩いたのだ。

      虚ろだった目が驚きで見開かれる。
      何事かと、何なのかと。そうしてやっと、目と目が合った。


      「ちゃんと起きなさい、目ぇ開けたまま寝てンじゃないワよ」

      「アンタ宛の手紙、持ってきてやったカラ読んでおくコトね。
       それで、アンタが生きてるか死んでるかくらいの返事は返しときなサイ」

      『ジズ? 何、何しに来たわけ?意味がわかんない。』

      「意味わかんない? ハン、バカ言ってんじゃないわ。その無い頭で考えなさいよ」

      『何ソレ。  帰って。今、会いたくない。手紙も、後で読む。』

      「はぁ? ふざけんじゃないわよ。
       アタシが態々来てやったんだからやりなさい。寧ろ感謝してほしいくらいだワ。
       だいたい、コンナ辛気臭いジトジトした部屋に居て何?アンタは何したい訳?」

      『別に』


      お互いにイライラが募る。
      言わなくても伝わる関係の深さが互いにこんな時こそ嫌になる。
      だが、魔女はだからこそ遠慮しない。 したら負けなのだ。

      言わなきゃ分からない今のこの娘には、叩きつけるに限る。
      だから、言った言葉に起こした行動の全てにアタシは後悔しない。本心だから。


      「へぇそう、そんな口動かす暇あるなら手ェ動かしなさい。 ほら、早く!」


      ギシリと、骨が軋む。
      手を強く握りすぎて白くなる。
      そんな事どうでもいい。早く、この魔女をサクヤは追い出さなきゃ。


      『・・・・・るっさい!!!!』

      『何、ヤメテよ!あたくしの領域に勝手に来ないでよ!
       あたくしはイマ悲しいの!! ほっといて・・・・放っといてよぅ!!!』



      その言葉を聞いたジズドリーはニタリと唇で弧を描いたのち
      カラカラと声を上げ、豪快に見えるが何処か上品に笑った。

      「へぇへぇそうなの、なぁに?アンタは悲劇のヒロインになりたいの?」

      「だったらアタシが彩ってあげようか。」


      後悔は、ない。
      思ったから、言うのだ。

      イライラするイライラする。
      この幼馴染は何なのか。喧嘩を売っているのだろうか?



      ギリ、と歯軋りをしサクヤはジズドリーに掴みかかった。
      気に入らないのだ。
      悲しみの淵で悲しみの水に片手を入れるのを邪魔しないで。
      きっときっと、その先の先の先の先に、想う人が居ると思うのだから。

      『っぁまスンな!!!』

      ジズドリーは笑ったまま、抵抗しない。
      そのまま押し倒されフローリングに背をぶつけるもそんな事は詮無き事。

      珍しくこの娘が感情を晒しているのだ
      あぁ、なんて面白い。 さぁもっと。もっともっと、言いなさいよと言わんばかりに挑発する

      「なぁに? ヒロインごっこに幼馴染は不要カシラ?
       イイじゃない、アタシも仲間に入れてよ。 ほら、泣いてあげるワ」


      一段深く、自分の唇が弧を描く
      さぁ、吐き出せ


      『ウルサイ、ウルサイ、ウルサイウルサイウルサイウルサイっ!!』

      ブツリとYシャツのボタンが一つ弾ける音がした。
      晒されたジズドリーの首は白く丁度イイ細さをしていた。
      朔夜はそのジズドリーの首に手を掛け、押し倒した時になった馬乗りの体制のまま、
      そのまま・・・体重をかけて強すぎも弱すぎもしな力で握り締める。

      ほとりと涙が落ちるのは見なかったことにする。
      大切な幼馴染の顔が歪んで見えるのは頭にきているからだと決め付けて。
      ただただ、的確に自分の心を突いてくる魔女が、幼馴染が憎いから、絞める。
      そしたらきっとこの人は私から離れていく。 それでいい。これでサヨナラ。私もサヨナラ。

      キット、キット、コレが世界のためになる。

      『うるっ、さいっ・・・!』


      だが、ジズドリーは退かない。
      揺らぎ続ける幼馴染の、愛らしいチェリーピンクの瞳をまっすぐに見返すのだ。
      この溜め込む娘の気持ちを吐き出させる為に相応の覚悟をしてきたから。
      手荒く殴りつけて殴り返される方法しか、自分は知らない。だから、実践する。
      でもそれも、大切だと思うから。
      壊れてしまわれては、困るから。
      彼女が彼女で居てくれてこそ、自分に張り合いがあるから。

      だから私は実践する。アタシにしか出来ない魔法を。


      「(もっと、泣け。アタシにアンタの思いをぶつけろ。吐き掛けろ。受け止めてやるカラ)」




      口パクで伝える魔法の呪文。




      その呪文に落ちたのは、
      魔女の幼馴染で親友で後輩で愛しい一人の少女でした。



      彼女の名は宇奈月 朔夜。   大切な人を失った可哀想な少女。

      魔女の名はジズドリー・メイデン。   大切な人を救いにきた焔の魔女。





       
      (ありがとうありがとう、あなたの言葉はわたしに届きました)
      (ありがとうありがとう、わたしを思ってくれる人が分りました)

      (ありがとう、わたしは貴女の弾ける魔法で立ち上がれました)


       

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